のぼり旗の歴史
日本におけるのぼり旗の歴史は古く、
中国の魏の国から邪馬台国に伝承されたのが
その起源と言われています。
その後、平安時代以来、武士たちによる
軍隊の規模や権威を誇示し、自軍と相手方との識別や相手方の
戦意を喪失させる目的として使用され、軍旗として発展しました。
戦国時代になると、武士たちはのぼり旗のデザインに
家紋を取り入れたり、好みの絵柄や文字を装飾したりと
一目見てどこの武将であるか認識することができ、
その独自性が一層確立されていきます。
幕末から明治にかけては、ヨーロッパからの要素が加わり
使用目的が軍事だけでなく、国事、スポーツなどの
分野にも広がりました。
現在でも、のぼり旗は商戦において、他店やライバル店との識別化や
差別化を目的として利用されています。
顔料インクでのぼりに印刷|欠点克服と改良の歴史
1990年代には、のぼりを作る過程において、すべて一般的な顔料インクを使用して
布地に直接印刷をおこなっていたために、にじみや耐水性を持たせるために
表面にコーティングを施すことが通常の作業だったのです。
ところがそれでは布の風合いが変わってしまったり、コーティングによって
コストが高くなったり、薄い素材の布でも裏側にインクが浸透せず白くなるうえ
顔料の色味がくすんでしまいます。
そのため、どうにかそれらのさまざまな欠点を克服しようと、いろいろな改良方法が考えられたのです。
最初に研究されたのは分散染料による直接捺染印刷で、発色が鮮やかで
美しくつくれるものの、加熱して発色させる前に洗浄をしないと滲みが出たり
薄い布に印刷すると裏にまで浸透するために、印刷機に染料が残ってしまうので
普及はしませんでした。
次には考え出されたのが昇華印刷ですが、こちらには二つの方法があり
転写紙を使用する方法とダイレクトに印刷する方法で、用途に応じて選ぶことが可能となりました。
印刷技術や生地など進化が著しいのぼり
さらに広く一般消費者を呼び込む目的として、バーゲンや祭り事、
商品アピールなど幅広い用途を担うようになりました。
のぼり旗が活用される場面としては、他にも観光案内所や
産地直売、また、交通安全の注意喚起としても使われており
使い方次第でいくらでも広がっていくように感じられます。
それだけ幅広い分野で活用される理由としては、やはり
費用対効果が高いことと、一瞬で視覚的に訴えることの重要性を
知られているという部分が大きいように考えられます。
このように、のぼり旗と日本人の歴史は古く、そしてこれからも
生活に欠かせないものとして、共に時代を歩んでいくことになるでしょう。